ホテルの夜★あれは忘れもしない○年前の○月○日(←忘れてるじゃーん)。 当時は東京出張と言えば、赤坂日枝神社のお隣のキャピ○ル東急を常宿にしていた私達。 私はこのホテルがことのほか、お気に入りだった。 いつも上階層のお部屋になるのだが、どういうわけかその日は珍しく2階のお部屋だった。 「まっいっかぁ、エレベーター酔いしなくて済むし」とお気楽に考えていた。 2階って結婚式場のバンケットなどがあるところだった。 客室は少ないらしい。 私がバスルームに近い方の壁際、そしてダーリンは窓際のベッドだった。 程よく疲れていた私はすぐに眠りに落ちた。ダーリンも同じころに寝たらしい。 真夜中、ふと何か気配を感じて目が覚めた。ダーリンの寝息が聞こえる。 寝てるんだな…そう思った瞬間、ただならぬ気配を感じて壁を見た。 そこに見えたのは作業服らしき服装のちょっと小太りの男性。その後ろにもう一人男の人のシルエット。 ふたりとも顔だけが無い。首から上がぼやけている感じ。 作業服を着ているから男性、と私が勝手に判断したのかもしれないけども。 恐怖のあまり固まってしまった。俗に言う金縛り。 私はそれまで金縛りと言うものに遭ったことがない。怖かった。ホントに怖かった。 身体は全く動かない。 テレビで観た話を思い出す。 「私にはあなた方を助けることは出来ないからあっちに行って!!」そう言うのが良いと。 でも言葉なんて出てこない。身体は相変わらず固まったままである。 こういう時って、その物体から目を離すことが出来ないんだよねぇ、何故か。 怖い怖いと思いつつジーーーッと見つめ合っている感じ。 でもいつまでもそうしてはいられないので何とかもがいてダーリンに助けを求めようと 右の方に身体をねじって彼を呼ぼうとした。 その瞬間! 顔の無い作業服の男が私のお尻をガシッと掴んだ。 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。 でも実際は私の身体は動かないし声も出ない。恐怖でますます身体は固まる。 何とかしなければいけない。喉の奥から声を振り絞ろうとする。 そのうちにかすかに声が出るようになった。自分でも怖くなるような ヘンな声。 「あぁぁ、うぅぅ、あぁぁ・・・た・・・す・・・け・・・・・てぇぇぇぇぇ」 尋常ではない声にやっと気づいたダーリンが起きてきた。 「どーした? おいっ、大丈夫か? お~~~いっ、どーしたっ?」 助かったぁぁぁ、と安堵した瞬間を覚えている。 体がふにゃふにゃになり声も出るようになった。 「ごわがっだぁぁぁぁぁ」と言いながらダァダァと涙が出てくる。 ダーリンは私の額に手を置いて「熱はないな」そして 私の腕の脈を取り「ヨシ、大丈夫だな」と言ってトイレに行きやがった。 なんなんだよぉ。本当に怖かったんだから。 トイレから戻るとなにごともなかったかのように彼はベッドに。 夜が明けてから「あれはなんだったの?」と聞かれた。 いい人だな、アンタって(--;) その次の出張から、予約の段階で「2階のお部屋だけはやめて下さい」と お願いするようになった。 ホテルは変えようと言う気にはならなかったのは何故か。 今でもあのときのキョーフは身体にしみついている。 とくにお尻をつかまれたときの感触は忘れられない。 二度目に霊に出くわした話はこちら♪ |